理学療法の歩み
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研究報告
ファンクショナル・リーチを用いた姿勢最適化トレーニングにおけるinternal focus of attentionとexternal focus of attentionの教示効果の差異について
藤澤 宏幸武田 涼子村上 賢一鈴木 誠吉田 忠義梁川 和也
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2010 年 21 巻 1 号 p. 23-31

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抄録

本研究の目的は,姿勢最適化トレーニングのモデルとしてファンクショナル・リーチ(FR)を用いて,最適な姿勢を言語教示する場合のinternal focus of attention(IFA)とexternal focus of attention(EFA)の効果を明らかにすることにある。参加者は健常な大学生20名(年齢19.8±0.6歳)であった。プレテストにて外果から指尖までの水平距離(FR距離)を測定した。その後,参加者をIFA群(10名)とEFA群(10名)に無作為に分け,FRの練習を連続5日間,各日10回実施した。その際,全ての試行でFR距離を測定した。また,練習最終日の翌日(第1保持テスト)とその1週間後(第2保持テスト)にもFR距離を測定した。FR距離はプレテストと比較して,両群で有意に変化した。また,練習初日にIFA群のFR距離の増加量はEFA群よりも有意に大きくなった(p<0.01)。しかし,IFA群の顕著な増加は持続せず,第1および第2保持テストにおいて両群の増加量に差はなかった。IFAはEFAよりもパフォーマンスに即効的な効果のあることがわかった。しかし,最終的な運動学習の効果としては両群に差はなかった。今後,IFAと適切な外在的フィードバックとの組み合わせにより,運動学習に対して効果的な練習方法の検討が必要である。

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© 2010 宮城県理学療法士会
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