抄録
運動行動を対象とする理学療法学の立場から,「姿勢をアクティブにとらえる」という視点で姿勢制御や運動・動作について考えてみた。姿勢は,単なる人の形や形態だけを意味するものではないようである。ひとの思いや考えの表現系であり,また環境との適応状態を示すものであると解釈できる。姿勢は,定位と安定と定義でき,結果の表現系と過程の表現系,開始の表現系の3つの視点で姿勢の観察評価を行うことが理学療法における問題提起に結びつく。理学療法技術の一つであるハンドリングにおいては,患者の自発運動を促すための生体力学的保障を提供するとう観点から,姿勢をアクティブにとらえることが重要である。