理学療法の歩み
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特集
運動時の呼吸循環応答
藤澤 宏幸
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キーワード: 呼吸, 循環, 運動, 応答, 制御
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2015 年 26 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

生体システムは複数のサブシステムの集合体として存在しており,運動を入力,呼吸循環応答をシステムの出力として捉え,そのセンシングと制御について理解することが必要である。また,サブシステム間の調和がなければ各々の機能も十分には発揮できない。特に呼吸と循環の連関は生命維持にとって,最も基本的であり,生命に直結するものである。運動は生体の恒常性(ホメオスタシス)に対する一種の外乱となる。一回拍出量を増加させるために収縮期血圧が上昇するが,そのためには動脈圧受容器反射の変調が必要となる。さらに,心拍出量を増加させるために,洞結節の固有心拍数を超える心拍数を実現するためには交感神経活動の亢進が必要なる。また,その活動亢進時の運動強度は嫌気性代謝閾値(anaerobic threshold; AT)に相当する。安静に対して運動を非常な状態として捉え,生体システムの応答を総合的に捉えることが理学療法士に要求されている。本稿では, 比較生理学に基づいてヒトの呼吸・循環器システムの特徴を概観したのち,運動時に対する呼吸循環応答と制御機構について論じる。

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© 2015 宮城県理学療法士会
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