2023 年 34 巻 1 号 p. 14-20
本研究はポジショニング変化がpeak cough flow(PCF)と呼吸機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。対象は20人の健常若年男性とし,座位,側臥位,ベッドアップ30度位,背臥位の各ポジショニングにおける咳嗽力および呼吸機能を,スパイロメーターを用いて測定した。各ポジショニングの測定順序は無作為化した。結果,PCF,肺活量,対標準肺活量,1回換気量,1秒率,1秒量,努力性肺活量はポジショニング間で有意差を認めなかった。一方で,座位・側臥位はベッドアップ30度位・背臥位と比較し,最大吸気量は有意に低く,予備呼気量は有意に高かった。また,PCFと肺活量,1秒率,1秒量,努力性肺活量との間で有意な正の相関が認められた。座位・側臥位とベッドアップ30度位・背臥位の間に存在する呼気量と吸気量の相反関係が4つのポジショニング間でPCFに有意差を認めなかった原因であった可能性が示唆された。