Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
1983年初夏の海面水温偏差が力学的長期予報に及ぼすインパクトについての再研究
山崎 孝治
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1991 年 41 巻 4 号 p. 129-138

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抄録
 Tokiokaら (1987, 以下TYC 87と略す) は1983年の初夏の例について、月平均の力学的長期予報に及ぼす海面水温偏差のインパクトを調べたが、ここではいくつかの点を改良して、再び同じ例を調べた。TYC 87の結果には幾つかの不満足な点があったが、インド洋の海面水温偏差を含めること、積雲対流に関して改良された荒川・シュバートのスキームを用いること、及び15層モデルを用いることによって、それらの欠点を矯正した。
 熱帯においては、TYC 87では2カ月目の実況とのアノマリ相関が悪かったが、今回は、1カ月目も2カ月目も良い相関を得た。また、モデルは熱帯の季節内変動をシミュレートしている。中緯度では、2カ月目の予報精度が南北両半球ともTYC 87より良くなっている。
 TYC 87及びこの研究の結果は全球の海面水温とよいモデルによって力学的長期予報の可能性があることを示唆するものである。
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© 1991 気象庁気象研究所
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