抄録
弾性層と粘弾性層の二層中を歪が拡散していく Elsasser model において、粘弾性層の厚さが一次関数的に増大していく場合の解を解析的に求め、その解の特徴を種々のパラメータ値について調べた。また、平行二層モデルにおける解と比較検討した。粘弾性層の厚さが増大していくとするモデルは海溝付近で生じると想定されるエピソディックなプレート間カップリング状態の変化の影響が内陸方向に伝わってくるという状況を実際の場の構造に合せて取り扱えるように考えたもので、サブダクション領域で想定される地殻構造のパラメータ値を用いることによって歪の移動速度を観測値10~100km/年と一致させることができる。厚さ増大モデルと平行二層モデルとの大きな違いは、後者では歪変化の伝播速度が経過時間あるいは距離とともに減衰していくのに対して、前者ではそれが一定であるということにある。なお、内陸における歪の伝播を議論するには地殻のブロック構造を考慮に入れる必要があると考えられるが、これについては将来の問題としたい。