抄録
遠地津波の数値計算では波数分散効果を無視できない。Imamura (1990) は線形長波理論を差分法で計算する場合に発生する数値分散を物理的な波数分散と同じくする事により、線形長波の式を解きながら波数分散効果を取り入れる方法を紹介した。この方法は巨大地震により発生した津波の数値計算に広く一般に使われている。しかし、この方法は大きな格子間隔を必要とし、M7クラス以下の地震により発生する津波には適用できない可能性が高い。本稿では、1998年パプアニューギニア地震 (Mw 7.1) により発生した津波を計算するために、波数分散項が入った線形Boussinesq式を陰的差分法を用いて解く方法を開発し、津波の数値計算を行なった。比較のため、Imamura (1990) による方法を用いた計算も行なった。房総沖の海底津波計での波形を比較した結果、津波波形、特に津波の後続波、を正確にモデルするためには線形Boussinesq式を使う必要がある事が分った。また、房総沖海底津波計で観測された津波は海嶺波と呼ばれる波で、伊豆・小笠原諸島近くの浅海を伝播しながら大きくなった波が、第1波より1時間近く遅れて観測されたものである事が確認された。