Papers in Meteorology and Geophysics
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スロー型津波地震に対する気象庁マグニチュードの評価
西宮 隆仁勝間田 明男
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2022 年 70 巻 p. 1-19

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抄録

スロー型津波地震は、通常の地震に比べて揺れの大きさから想定されるよりも異常に大きな津波をもたらす。気象庁は津波警報第1報を速やかに発表するため、その津波予測に地震波の最大振幅から求める気象庁マグニチュード(MJ)を用いるが、津波地震の場合は過小に求まると考えられる。そこで、日本近海でスロー型津波地震が発生した場合に推定されるMJについて定量的に評価した。近地で記録された津波地震の地震波形が少ないため、評価では合成した地震波形を用いた。また巨大地震の規模過小評価防止のために導入したM100(100秒高域通過フィルタ波形の振幅から求めるマグニチュード)についても評価した。その結果、1992年ニカラグア沖津波地震や1994年ジャワ島沖津波地震等と同様なスロー型津波地震が日本近海で発生した場合、場合によってはMJで1程度以上、M100で0.5程度以上過小となるおそれがある。

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© 2022 気象庁気象研究所
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