Papers in Meteorology and Geophysics
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藝物理および微気象測器の研究ならびにその開発(II)
大雲粒の新らしい測定法
佐粧 純男
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1969 年 20 巻 1 号 p. 27-40

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抄録

暖い雨は,吸湿性巨大核に凝結した直径50μ以上の大雲粒が,よりちいさい雲粒を捕集し成長したもので,その間の物理過程もかなり明らかにされてきた。
しかしこの大雲粒の空間密度は,一般雲粒にくらべはるかにちいさく,その測定はむつかしい。
この論文の第1部は,大雲粒の出現を半定量的に連続記録する測器の開発について述べてある。その目的は大雲粒の出現と雲の力学的微構造との関聯から,暖い雨の形成過程が雲のlife cycleの中でどの様に行なわれているかを見るためである。
原理は感雨器と全く同じで,第1図に示すとおり,直径約1.5cm,長さ5cmのガラス管又は絶縁塗装をした金属管に,太さ100μ の銅線2本を一定間隔を保って巻き付けたもので,この間隔以上の大きさをもつ雲粒が銅線間にまたがって落ちるとリークをおこすようにしてある。尚sensorにおちた雲粒はすぐ蒸発する様にパイプ内にヒーターを入れてある。実際に使用しているものは,間隔50μ,100μ 及び200μ で夫々50μ,100μ,200μ 直径の雲粒を検出する,
第3図は記録の一部で,リークをパルスとして取出してある。これから1分間あたり,sensorにおちた雲粒数を求めヒストグラムに示したものが第4図である。
野外観測の結果を第8図に示した。詳しいことは,次の論文で述べるとして,200μ 以上の大雲粒の出現前には,50μ 以下の一般雲粒concentrationが,fluctuationを伴なって増加していることが判る。第2部では,大雲粒の粒波分布は,写真フィルムが適しており,これを用いて永久的な記録を得る簡単な方法が記してある。

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© 気象庁気象研究所
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