抄録
富士山の東斜面の3ケ所(高度3.4, 2.1, 1.3km)で観測した雨滴資料はWarm rainであることがわかったので, 前に観測したハワイ島のWarm rain の結果と比較した.まず雨滴分布の特徴としてスペクルの巾は小さく濃度(空間)は非常に大きかった.従ってZ-R因子B,βの値が共に普通の範囲よりも下方にあってしかも高度とともに減少する傾向がみられた.ハワイの場合も同様の結果が得られたが傾斜が緩やかで約3/100位である為,高度差よりも降水セルの発達段階の差の現われる水平距離の差によるものであるかも知れないという疑問が残っていたが富士山の場合,水平距離と高度差が同じオーダー(勾配平均1/2)である場合も同様の結果が得られたので高度と共にB,β が減少することが確められたことになる.