Papers in Meteorology and Geophysics
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AMTEX'74期間中のシノプティック・スケールの大気運動の数値シミュレーションおよびそれに関連した海面からの顕・潜熱補給量について(序報)
新田 尚山岸 米二郎岡村 存
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1974 年 25 巻 4 号 p. 233-250

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抄録

気象庁の数値予報の現業モデル-アジア地区6層ファイン・メッシュ・プリミティヴ方程式モデルを用いて,AMTEX'74期間中のシノプティック・スケールの大気運動の予備的数値シミュレーションを行なった.
本研究は大別して2段階にわけられる.第1段階はケース・スタディで,期問中から3例を選びシミュレーションの結果を詳しく調べた.第1例は東シナ海の上を移動性高・低気圧が通過する場合,第2例は沖縄地方を前線が通過する場合,第3例は全AMTEX領域上を寒気が氾濫している場合である.3例の数値予報結果は,概して実況とよく一致している.
研究の第2段階では,3例についてモデル大気中への海面からのシノプティックなスケールでみた顕・潜熱補給量をくらべてみた.補給量の計算にはパルク法を用いている.補給量は,シノプティックな気象情況に大変敏感である.シミュレートした補給量は,現実大気の日々変化をよく表わしているが,時間変化の方はよくない.実況で徐々に変動しているのに対して,モデル大気では急速に減少する.これはモデル大気の外的熱源に対する反応がよくないからである.42時間蓄積した補給量は,近藤純正(1974)がAMTEX'74のデータから予備的に求めた値とよい対応を示している.海水温のノルマからの偏倚が,どの程度予報値に影響を与えるかを調べるために,1974年2月21日から28日までの8日平均の海水表面温度を用いてシミュレートした所,予想天気図ではノルマルの海水表面温度を用いた場合と差はなかった.シノプティック・スケールの大気運動の24時間予報に関する限り,
海水温のノルマルからの偏倚は無視できよう.他方,顕・潜熱の補給量の分布図には著るしい違いがみられるので,中小規模現象の予報や延長予報では,この偏倚は重要と考えられる.

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© 気象庁気象研究所
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