Papers in Meteorology and Geophysics
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雲仙岳の地震活動とその地震発生回数異常値
澤田 可洋
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1978 年 29 巻 2 号 p. 83-96

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抄録

雲仙岳では1792年以降噴火はないが,近年は有感を含む群発地震がひんぱんに発生している.雲仙岳測候所により観測された1924-1976年の有感地震回数,及び62A型直視式電磁地震計による1967-1976年の地震観測資料,さらにこれまでの調査・研究の結果も合わせて近年の雲仙岳の地震活動の特性を解析した.主な成果は次のとおりである
.(1)1968-1974年は,地震活動が極めて活発であり,かつ長期間継続したという点で特異な活動期である.
(2)正規確率紙による方法で,大よそ資料の正規分布適合度検定を行なった上でThompsonの方法により異常値を求めた.棄却限界の上限は,地震回数は525-550回/月,有感地震は75回/年が得られた.これらの値の単純平均で得られる地震回数が18-19回/日,有感地震回数が7-8回/月,0.2-0.3回/日という値は,最近における個々の群発地震活動の下限に近い値であり,活動期の選出や群発地震活動検出の上で目安となる.
(3)活動期の前後において,石本-飯田の係数mの値に大きな変動は認められない.
(4)雲仙岳付近の地震活動の主体は,P-S蒔間が0.6-2.0秒を有する地震であり,その殆んどは千々石湾周辺で発生する.(
5)1968-1974年の活動期では(4)の地震が極めて活発であった.なお,活動期に先立つ1967-1968年にP-S3秒以上の地震が増加したが,P-S2秒以内の地震の活発化に伴い,その発生頻度は低下した.

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© 気象庁気象研究所
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