日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: B3
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奄美大島とニュージーランドで見つかったCoprinopsis 属の未知アンモニア菌2種
*吹春 俊光清水 公徳田中 千尋
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抄録

演者らは各地でアンモニア菌相を調査しているが,2006年~2007年にニュージーランド,2008年鹿児島県奄美大島でアンモニア菌の調査をおこない,これまで日本きのこ学会の2007年と2008年の大会等でその結果を報告してきた.今回は採集された菌の中でナヨタケ科Coprinopsis 属の未知2種を中心にご紹介する.●方法:調査地1;ニュージーランド南島 Westport近郊地で,ラジアータマツの植栽林,マヌカ林,ナンキョクブナ属の林内にプロットを設け,2007年1月にフクロギツネ死体を林内土壌表面に放置し(1plot/1個体),死体腐敗跡に発生した菌を2007年5月9日に観察した.調査地2;鹿児島県大島郡龍郷町にある,奄美自然観察の森において,調査区をスダジイ林内に設け,2007年6月6日に尿素肥料を散布し,その後に発生する菌を継続観察した.子実体の形態観察は培養子実体に基づいておこなった.系統樹を作製するために,培養子実体から抽出したDNAを鋳型とし,PCR法によりrDNA-ITS領域を増幅し,その塩基配列を解析した.GenBANK登録データ検索し,得られた塩基配列を用いてアライメントを行い近隣結合法による系統樹を作製した.●結果:調査地1から,既知アンモニア菌ザラミノヒトヨタケCoprinopsis phlyctidospora(担子胞子粗面)及びC. aff.phlyctidospora phylogenetic group B(Suzuki et al. 2002,未記載,担子胞子粗面)の近縁未知種 C. aff.phlyctidospora 1(担子胞子表面は平滑)が分離された.また調査地2からも未知種 C. aff.phlyctidospora 2(担子胞子表面は粗面刺状)が分離された.今回の大会では今回分離された未知2種についてより詳しい検討結果を報告する.

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© 2009 日本菌学会
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