2016 年 18 巻 2 号 p. 115-122
溶媒分子が溶質分子の安定性や分光学的特性へ及ぼす影響を理論的に解明するために,量子化学計算および分子シミュレーション手法を併用した計算化学的アプローチを用いた理論研究を展開した.得られた計算結果を連続誘電体モデルから得られるものと比較することで,微視的溶媒和効果の寄与を明らかにした.また,これらの起源について構造変化,溶媒構造および電子密度解析から考察を行った.さらに,溶液中の振動スペクトルを解析するための新たな手法("Dual Approach to Vibrational Analysis: DAVA",振動双解析法)も提案し,その有用性を示した.