2018 年 20 巻 4 号 p. 243-
モンテカルロ法は,分子動力学法とともに,統計力学の数値解法である.モンテカルロ法は,統計力学の物理量の期待値の公式を,ボルツマン分布を実現する乱数を用いて数値積分により求める方法であり,分子動力学法に比べてより直接的に統計力学と結びついている.また,原子・分子系のモンテカルロ法の標準的方法であるメトロポリス法は,フォン・ノイマンが考案した任意分布の乱数を発生させる棄却法に基づいている.この解説では,これらの点と実際の計算で注意すべき点を中心に述べた.