アンサンブル
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特集「モンテカルロ法の新展開」
レッドムーン法:一つの“モンテカルロ”法,何なら元祖進化形!?
長岡 正隆
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2025 年 27 巻 2 号 p. 91-102

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抄録

複雑な反応現象を伴う分子凝集系である複合反応(complex reaction, CR)系を扱うためのレッドムーン(Red Moon, RM)法を紹介する.まず,スタニスワフ・ウラムらによって考案された,「統計的アプローチ」としての「モンテカルロ法」を概観しながら,CR系を扱うレッド-ムーン法との類似点に触れる.次に,CR系を確率過程としてモデル化するために「分子状態(molecular state)」を定義し,そのマルコフ過程の数学的取り扱いとして基本マスター方程式の基礎を概説して,その解が「定常状態」に漸近することを確認する.さらに,RMシミュレーション(レッドムーン法による分子シミュレーション)の概要を記した後,その本質的特徴が,媒質ダイナミクスを含めた内在MDシミュレーションの実行にあり,その結果,反応過程の非格子サンプリングが実現できることを述べる.また,RMシミュレーションで得られる定常状態が「準安定状態」として現れる実例として,リチウムイオン電池の負極被膜形成を挙げ,電解質分子や添加剤濃度によって決まる微細構造とその力学的安定性の解析が電池特性向上に重要であることを指摘する.最後に,レッドムーン法という「統計的アプローチ」は,ウラムらが始めた,元祖「統計的アプローチ」の進化形(拡張版)として,メソ・マクロスケールの物質状態を探求する有効な計算分子技術の一つになりうると結論づける.

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© 2025 分子シミュレーション学会
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