抄録
消石灰, セッコウおよび水酸化アルミニウムの混合物を出発原料として, 遊星ミルを用いて乾式粉砕し, 常温でのカルシウムサルフォアルミネート (CSA) 水和物のメカノケミカル合成を試みた。1時間粉砕後の産物には, 異なる種類のCSA水和物が混在し, メカノケミカル合成が達成できる。えられたCSA水和物は, か焼温度約773Kでほぼ無水物となる。この無水化温度は, 市販のCSA粉体の製造温度と比較して極端に低い。メカノケミカル合成によってえられたCSA水和物は, 水添加によって硬化し, エトリンガイトを形成する。原料の粉砕後, か焼した試料に水を添加し, 10日間放置した硬化体の硬度は, 原料に対する粉砕時間が長いほど大となる。一方, か焼なしの場合は, 1時間粉砕の試料で硬度が極大値を示す。さらに, これらの硬化体硬度は, 市販のCSA粉体から調製した硬化体硬度よりも大となる。