抄録
直径5~50μmの板状CaHPO4・2H2O粒子を種結晶として用いて配向性α-Ca3 (PO4) 2セメント硬化体を作成した.37℃の擬似体液中での養生によりα-Ca3 (PO4) 2およびCaHPO4・2H2Oのいずれもカルシウム欠損型水酸アパタイト (Ca10-x (HPO4) x (PO4) 6-x (OH) 2-x) に変化した.なお、擬似体液中37℃, 96時間の養生ではα-Ca3 (PO4) 2は完全に消失したが, CaHPO4・2H2Oはかなり残存していた.セメント硬化体中の水酸アパタイトは, CaHPO4・2H2O種結晶無添加では直径1μm以下の不定形粒子であったが, CaHPO4・2H2O種結晶を添加したものは直径2~5μmの板状粒子となった.37℃で168時間養生したセメントの圧縮強度は, 種結晶無しでは42MPaであったが, 種結晶を使用して配向成長させたものは74MPaであった.