Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan
Online ISSN : 2185-4378
ISSN-L : 1345-3769
血液含有コラーゲン複合化リン酸カルシウムペーストの性状
作製時に添加するコラーゲン形態の影響
遠藤 裕史板谷 清司梅田 智広幸田 清一郎
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2006 年 13 巻 321 号 p. 105-111

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抄録

リン酸カルシウムペースト (CPP;主結晶相α-Ca3 (PO4) 2およびCa4 (PO4) 20) とコラーゲン溶液 (Col (I) -S)) とを複合化させて凍結乾燥させた.凍結乾燥物を粉砕処理し, 血液と練和液を加えて試験片を作製したのち, この試験片を37.0±0.2℃の温度で生体擬似体液 (SBF) に種々の時間浸漬した.まず, 硬化体の作製時に添加する混合溶液の量を検討するため溶液/粉体 ((P/L) -1) 比を調べたところ, この値は最高0.77となり, コラーゲン穎粒 (150μm以下;Col (1) -G) を添加して作製した場合よりも約38%も高くなった.一方, 9.1mass%Co1 (1) -Sと血液とを複合化して作製したCPP試験片を7dSBFに浸漬したところ (P/L比 : 1.7), 結晶相は水酸アパタイト (Cal0 (PO4) 6 (OH) 2 : HAp) だけが認められたが, Col (1) -Sとの複合化によってHApへの変化がわずかに抑制される傾向が認められた.この硬化体の気孔率と圧縮強度はそれぞれ66.5±1.5%および4.28±0.04MPaであった.硬化体中の粒子はコラーゲンによって被覆されており, Co1 (1) -Gを複合化して作製したCPP硬化体の場合と比較して微細構造には大きな違いが認められた.

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