Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan
Online ISSN : 2185-4378
ISSN-L : 1345-3769
高分散ナノ粒子の固相反応によるアルミン酸マグネシウムの生成過程
板谷 清司内藤 暁雄Ian J. DAVIES佐野 聡幸田 清一郎
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2006 年 13 巻 324 号 p. 336-344

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抄録

高分散性ナノ粒子の固相反応によるアルミン酸マグネシウム (MgAl204) の生成過程を高温X線回折法 (HT-XRD), シンクロトロン放射光分析法 (SRD) およびX線光電子分光法 (XPS) を用いて検討した.出発粉体はアルミニウム源としてα-およびγ-酸化アルミニウム (α-およびγ-A12O3;一次粒子径, 各105および31.6nm) を, またマグネシウム源として酸化マグネシウム (MgO;41.3nm) および水酸化マグネシウム (Mg (OH) 2;61.1nm) を使用した.これらの化合物を組み合わせて, (i) α-A12O3およびMgO, (ii) γ一A1203およびMgO, (iii) crAl2O3およびMg (OH) 2, および (iv) γ-A12O3およびMg (OH) 2の四種類の混合粉体を調製した.各混合粉体の相変化をHT-XRDによって調べた結果, γ-Al203とMg (OH) 2を加熱した時にMgA1204の生成が最も速かった.さらに, この混合物を1200℃, 1h加熱するとほぼMgAl2O4の単一相が得られた.SRDとXPSを用いてγ-A1203およびMg (OH) 2を800℃で1h加熱して得た混合粉体 (前駆物質) に含まれる相を調べたところ, この粉体からはγ-Al2O3とMgOの他に少量のMgAl204とα-Al2O3が検出された.γ-A12O3およびMg (OH) 2粉体はそれぞれα-A12O3やMgO粉体と比較して一次粒子径および凝集粒子径ともに微細であったことから, 加熱中に両化合物の固相反応が急速に起こり, それに伴ってMgA12O4が効率良く生成したものと判断された.

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