日本流体力学会誌「ながれ」
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主流に速度勾配があるときの乱流境界層の剥離機構
魏 慶鼎佐藤 浩
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1982 年 1 巻 3 号 p. 253-264

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抄録
乱流境界層の剥離についてはまだ分らないことが多い.我々の目標は主流に速度勾配のあるときの剥離の有様を実験によって明らかにすることである.そのために風洞の中で平板に沿って一様主流, 正勇断主流, 負勇断主流を持つ二次元の乱流境界層を作り, それを凸面にみちびいて剥離させるようにした.実験技術としては三線風速風向計を開発し, 順流と逆流を精度よく測定した.
全時間のうち逆流である割合を逆流率と定義し, 逆流率がゼロでない領域を逆流領域と呼べば, これはいわゆる剥離領域にほぼ対応する.主流の分布に無関係は結果は逆流領域の外側境界で平均風速に変曲点があり, そこでは速度変動が最も強くなることである.剥離のしやすいのは正勢断主流, ついで一様主流であり, 壁面噴流に近い形の負勇断主流は最も剥離しにくい.理由として負勇断主流のときには流れ方向への減速がゆるやかであり, また変動のスペクトルの低周波成分が弱いという事実が挙げられる.
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