抄録
非圧縮性ナビエ・ストークス方程式を数値的に解くことにより, 天文台ドーム内の流れ場を調べた.今回用いた方法は矩形格子系を用いた有限差分法で, 物体は矩形格子をマスクすることで表現される.様々な条件下で求めた流れ場を可視化することにより, ドーム内の複雑な流れを把握することができた.これにより, ドームのフラッシング特性に関する多くの知見が得られた.特に, 望遠鏡まわりの流れに対するドーム形状や風向きの影響を明らかにすると同時に, 流入速度分布に人工的な速度勾配を与えることにより接地境界層の影響を定性的に評価した.また, 今回用いた計算法が複雑形状物体まわりの流れ場を調べる上で有効であることも確認できた.