1993 年 12 巻 3 号 p. 302-313
楕円型シリンダー内のスワール流の線形短波長不安定性を低Mach数近似のもとに解析する.スワール流はピストン往復運動にともなって時間周期的な軸方向ストレインの影響を受けている.撹乱振幅運動の満足する線形方程式は, 一般には, 時間に関して二重周期的な係数を持つが, ふたつの時間周期 (スワール比) が有理数となる場合には, Floquet理論を用いて不安定性の増幅率を決定することができる.圧縮率を固定して, シリンダーの楕円率を高める, あるいはスワールを強化すると不安定性は増強されることがわかる.この事実は楕円型不安定性の性質と一致するものである.長軸と短軸比が2 : 1の楕円型シリンダー内で圧縮比を変化させる場合, スワール比が小さいと圧縮比の増加とともに不安定性が強化され, 逆にスワール比が大きいときには圧縮比とともに不安定性が抑制される.