日本流体力学会誌「ながれ」
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安定成層流中の水平円柱周りの流れ
大屋 裕二小園 茂平
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1993 年 12 巻 4 号 p. 388-398

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抄録

密度成層風洞において鉛直方向に一定の密度勾配を有する安定成層流を生成し, その中での2次元水平円柱まわりの流れを調べた.成層度を示す無次元パラメータkd (=Nd/U, N : ブラント・バイサラ振動数, d;円柱直径, U : 流速) は0~2.0の範囲で, レイノルズ数は3.5×103~1.2×104の範囲である.kdの変化に対し, 円柱の近傍後流パターンを可視化観察し, 後流速度変動を計測した結果, 次の二つの現象が見いだされた.第1は, kdが大きくなる (成層度が強くなる) につれ, 円柱の渦形成・放出がkd=0 (中立流) の場合に比べ徐々に強くなり, ストローハル数が低下する.この理由は, 安定成層が円柱周囲流の2次元性を高め, はく離せん断層のより強い巻き込みを実現させるためと考えられる.第2は, あるkdで, 最も強くなった円柱の渦形成・放出は突然抑制され, 遠くで弱い渦形成を行うパターンへ急変し, 高いストローハル数へジャンプする.この原因は円柱下流に定常風下波が発生し, 鉛直方向の流体運動を強く抑制するためと考えられる.

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