抄録
側岸に死水域 (2次元キャビティ) が存在する場合の, 開水路流れの非定常特性について実験的, 数値解析的に考察した.正方形 (15cm×15cm) 死水域を設けた水理実験により, 境界面付近にはせん断不安定に起因しセイシュの影響を受けた周期的な大規模渦が発生し, 周期的な流速変動が生じることを確認した.このような流速場の非定常特性を, 比較的簡単な開水路流れの平面2次元モデルの数値解析により再現した.計算結果より死水域内の主循環流と隅角部の副循環流, および主流・死水域境界面の大規模渦の再現が確認されるとともに, せん断不安定に起因する渦はセイシュ (死水域内の水面振動) と共鳴した場合に大規模な渦へと発達するが, セイシュと共鳴しない渦は発生直後に消滅すること, また, 渦の規模, 渦の発生位置等については実験結果と多少相違することが示された.