eN法では撹乱の空間増幅率Nがある値を越えた点を境界層の乱流遷移位置と予測する.しかし実験的に検出される遷移位置は自由流中の変動の影響を受けて変化するため, 普遍的なNの値で遷移位置を予測することは困難である.予測精度を向上させるにはNに対して外乱の影響を定量的に評価する必要がある.
そこで二次元翼境界層の自然遷移に対するNと自由流中の変動, すなわち残留乱れTuおよび騒音レベルSPLの関係を実験的に導くため, 自由流中の変動特性が異なる5つの風洞で同一の二次元翼模型の遷移計測を実施した.
その結果, 残留乱れが大きい風洞ほど遷移位置は前縁に近づくことが確認され, 遷移位置におけるNと自由流中の変動の関係は一つの式で整理できることがわかった.本実験で用いたNACA0015翼に対しては, N=-1.32×ln (Tu) -0.003×SPL+6.57である.