抄録
実際のゴルフボールを風洞気流中で高速回転させ, 空気力を計測する装置を開発した.一方, これまでは2次元に限られていたゴルフボールの飛翔軌道解析の数式表現を3次元軌道解析に拡張し, 定式化した.従来, ボールがフック・スライスする曲がりの原因はサイドスピンと称される概念を用いて説明されており, 3次元の飛翔軌道計算においてもこのサイドスピンによる力を経験的に計算していた.本研究では, ボールの回転軸が傾いていることにより揚力の分力が生じ, これがボールの曲がりの空気力学的な原因であるとして, 3次元飛翔軌道方程式の定式化を行った.風洞実験により求めた空気力を用い, 3次元のゴルフボールの飛翔軌道計算を行った.これに基づいた計算結果とロボットを用いたゴルフボールの発射実験結果を比較し, 定式化の妥当性を示した.