抄録
定常な流れに含まれる温度の脈動が熱線からの熱伝達に及ぼす影響を数値実験によって調べた.計算は, 時刻とともに変化する温度を含む境界条件のもとで, 差分化されたエネルギー方程式を解くという方法で行った.ただし, 流体の温度による物性値の変化は無視した.その解は, 熱線まわりの温度場を与え, これから熱線表面にわたってとったヌッセルト数の平均値が得られる.その結果, 平均ヌッセルト数は温度の脈動からある位相の遅れで定常値のまわりに変動することがわかった.したがって, 熱線による流速測定法を温度変動のある流れに拡張するときには, 上述のような熱伝達に現れる非定常性を考慮に置く必要がある.