鉛直方向に不安定な温度勾配を有する2次元せん断流 (Couette流, Poiseuille流, 両者の合成流) の中での, 無限小振幅擾乱に対する不安定性 (対流の発生) を議論する.流体は上下2枚の水平境界面のあいだを満して運動しており, 下側の境界面温度は常に上側の境界面温度より高く保たれている.非常に小さなReynolds数 (
R<1) の場合について, 逐次近似法を用いて解析を行い, 定常なtransverse rollに対する中立安定曲線を求めた.その結果, 純粋な熱対流問題 (いわゆるRayleigh-Bénard問題) が与える臨界Rayleigh数よりも低いRayleigh数範囲に, transverse rollの解が存在することを見出した.したがって, この限定されたReynolds数範囲においては, 従来指摘されているlongitudinal rollにかわって, transverse rollの発生が観察されるものと考えられる.
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