抄録
流れの中の熱線が速度変動と温度変動に対して応答するときの各変動に対する感度の比が熱線温度の関数であるという事実に基づけば, 速度と温度の変動を分離してそれらを同時に評価することが可能である.この報告では, 正弦波状の速度と温度の脈動を含む流れを考え, これに上述の原理を適用して単一熱線法により両脈動を分離する数値シミュレーションを行い, 脈動の周波数が分離の精度に及ぼす影響を調べた.その結果によれば, 空気流の場合に1%の精度での分離を可能にする上限の周波数は, 熱線 (5μm直径) レイノルズ数が2および20の流れにおいてそれぞれ数100Hzおよび数kHzの程度であることがわかった.