抄録
LSI (大規模集積回路) の分野においては, 素子の平面寸法を縮小すべく盛んに研究開発が行なわれている.近い将来, 素子の最小寸法は0.1μmに近づき, 材料の物性限界や量子効果が顕在化してくると予想される.このような微細素子を実現していくためには, あらゆる分野の知見を活用して, 基本現象に対して深い洞察を加えていくことが重要になると思われる.ここでは, LSI研究において流体力学と関係の深い問題を紹介し, 流体力学が, LSI製造における重要な工程の多くに何らかの形で関係していることを述べる.取り上げた問題は, 洗浄, 熱酸化, 気相成長, 薄膜の高温流動, 塗布膜の平坦性, クリーンルーム内の気流に関するもの6件である.