抄録
本研究では, 周期的なT-S 波動の発達から始まる平面ボアズイユ流の乱流遷移において流れが不規則化する過程を実験的に調べ, 残留乱れによる波動の不規則化が以下のように進行することを明らかにした.波動の三次元化が起きると基本波とその高調波の周りに側帯波的な連続スペクトル成分が発達し, 波動の振幅および位相を低周波で変調させることになる.この側帯波成分の成長は特に高せん断層位置で顕著になり, また波動の増幅とともに高周波数域に及んで行く.一方, 低周波域の連続スペクトル自身も形や強さを変化させる.さらに, 高周波数域の連続スペクトル (側帯波) 成分は高周波二次不安定が始まると急激に増幅し, 高せん断層のヘアピン渦への崩壊に大きく寄与する.従って, 崩壊の進行とともに連続スペクトル (不規則) 成分が支配的になり遂には乱流に至る.