日本内科学会雑誌
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I.病因と病態
4.病態と病理形態
福田 悠
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2011 年 100 巻 6 号 p. 1536-1540

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抄録
ARDSの病態を示す肺の病理像の主体は,びまん性肺胞傷害(DAD)であるとされている.DADは,ある原因により一斉蜂起的に発症し,時間経過により浸出期,増殖期(器質化期),線維化期と進展する.浸出期の特徴はI型肺胞上皮細胞の傷害と硝子膜形成である.発症1週間以降の増殖期では,肺胞に筋線維芽細胞の増殖が起こる.3週間以降には,膠原線維の沈着が顕著となる線維化期に至る.ARDSに多臓器不全症候群(MODS)の合併が多い症例は感染症や熱傷によるものなどであり,肺血管内血栓形成も顕著である.合併の少ないのは薬剤性肺障害によるものなどである.この両群には,病態と病理形態像にも差があることが次第に明らかとなっている.
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© 2011 一般社団法人 日本内科学会
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