日本内科学会雑誌
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内科学会NEWS
目次
特集 喘息管理のUp-Date
Editorial
トピックス
  • 山口 正雄
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1114-1118
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    喘息の主病態は,Th2(T helper cell type 2)リンパ球及び2型自然リンパ球(group 2 innate lymphoid cells:ILC2)が引き起こす2型免疫であり,IL(interleukin)-4,IL-5ならびにIL-13といった2型サイトカインが関与している.これらサイトカインは,重症喘息に対する生物学的製剤の治療標的としても重要である.非2型免疫の病態も存在し,その代表としては,Th17リンパ球が引き起こす好中球性炎症がある.患者における気道炎症を把握することは,治療薬の選択に結び付く点において重要である.

  • 土橋 邦生
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1119-1127
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    喘息有症率は,小児では減少傾向が見え始めたが,成人では増加傾向にある.厚生労働省の患者調査によると,入院患者数は減少が続いているが,外来患者数は依然横ばいであり,2014年,総患者数はむしろ増加した.吸入ステロイド薬の使用とガイドラインの発行により,喘息死の数は順調に減少し,2016年には1,454人となり,1,500人の大台を割ったが,死因統計分類の変更のためか,2017年には1,794人と増加に転じた.65歳以上の高齢者の割合も90%を超えた.

  • 小川 浩正
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1128-1133
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    気管支喘息の生理学的病態は,発作性の気道閉塞,気道変動性,気道可逆性,気道過敏性である.重要な臨床病態の1つである「変動性を持った気道閉塞」は,最大呼気速度の変動により評価することができる.そのための呼吸機能検査がピークフローモニタリングである.ピークフローの日内変動度は,感度が低く,特異度の高い指標であり,喘息の診断及びコントロール評価において,感度・特異度の観点から有用である.

  • 浅見 麻紀, 松永 和人
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1134-1140
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    喘息の病態は多様であり,好酸球,好中球等の炎症細胞や気道構成細胞及び種々の液性因子が関与する気道の慢性炎症が本態である.呼気一酸化窒素(fractional exhaled nitric oxide:FeNO),喀痰好酸球比率は気道の好酸球性炎症を反映し,喘息の診断や管理に応用することができる.末梢血好酸球数が高値の場合は増悪のリスクが高い.検査の簡便さ及び非侵襲性から,気道炎症のモニタリングとしては,呼気NO濃度測定が今後ますます用いられることが予想される.

  • 坂上 公太, 高木 弘一, 井上 博雅
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1141-1148
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    喘息の管理においては,気道炎症の原因となる危険因子を回避・除去し,薬物治療により,気道炎症及びそれに伴う気道過敏性を抑制し,十分な気管支拡張を達成することが重要である.薬物療法では,重症度に応じた治療ステップを選択し,そのなかで種々の薬剤を単独もしくは組み合わせて長期管理を行う.近年,生物学的製剤をはじめとする新規の薬剤及び治療法も開発されており,個々の患者に応じた最適な治療を行うことが重要となっている.

  • 浅野 浩一郎
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1149-1155
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    標準的治療でコントロールできない喘息を重症(難治性)と判定する前に,本当に喘息か,正しい薬物療法を行っているか,併存症は適切に管理されているか,増悪因子は同定され排除されているかを確認する必要がある.一方,末梢血好酸球数や呼気NO(nitric oxide)濃度等の2型炎症バイオマーカーが上昇している場合には,アスピリン喘息(aspirin-exacerbated respiratory disease:AERD)や好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis:ECRS),アレルギー性気管支肺真菌症(allergic bronchopulmonary mycosis:ABPM),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)等の鑑別が重要である.

  • 多賀谷 悦子
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1156-1162
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    喘息の気道炎症の病態解明が進み,フェノタイプやエンドタイプによる層別化が行われ,重症喘息に対する生物学的製剤による治療が行われている.2009年に抗IgE(immunoglobulin E)抗体が最初に認可され,その後,好酸球性喘息に対して抗IL(interleukin)-5抗体や抗IL-5受容体α抗体が使用可能となり,非薬物療法である気管支熱形成術(気管支サーモプラスティ,bronchial thermoplasty:BT)も導入された.新たな生物学的製剤の有効性が次々に示され,重症喘息の治療の幅がさらに広がることが期待される.

座談会
MCQ
シリーズ:地域医療を実践する内科医とは
今月の症例
  • 今滝 修, 植村 麻希子, 橋本 希, 内田 俊平, 久保 博之, 横倉 繁行, 横平 政直, 門脇 則光
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1187-1196
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    我々は,好酸球増多を伴う腹痛を契機に発見された腹腔内リンパ節腫大を呈する75歳,男性を未分化大細胞リンパ腫と診断した.本症例の腹水,鼠径リンパ節生検ならびに病理解剖での心外膜には,好酸球を伴うリンパ腫細胞の浸潤所見を認めた.好酸球浸潤に対して副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン),悪性リンパ腫に対して化学療法(THP-COP:pirarubicin, cyclophosphamide, vincristin, prednisolone)の治療を行ったが奏効せず,急性循環不全で死亡した.本症例の病態にIL(interleukin)-5過剰産生が関与していた.

  • 桒田 幸治, 小原 一葉, 只野 豊, 布山 智恵, 木下 康平, 佐々木 裕明, 大矢 守彦, 伊古美 文隆, 松崎 宏治, 徳永 徹二
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1197-1204
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    汚水タンクのある密室で作業していた者とそれを救出した者の16名(23~74歳)が意識消失,倦怠感ならびに頭痛等の症状を呈し,当院へ救急搬入された.現病歴,臨床症状ならびにカルボキシヘモグロビン(Carboxyhemoglobin:COHb)濃度から,急性一酸化炭素中毒と診断し,それぞれ速やかな酸素投与と高気圧酸素治療(hyperbaric oxygen therapy:HBOT)を行った.また,遅発性脳症を考慮し,最大限の高気圧酸素治療を行うと共に,発症から4週間までフォローアップし,遅発性脳症の発症の有無を確認した.一酸化炭素中毒は,急性中毒及び遅発性脳症のいずれも早期診断・治療が必要であり,集団で発生した場合は全員に適切で十分な治療を行うマネージメントが重要であると考える.

医学と医療の最前線
  • 山﨑 宏人
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1205-1211
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    抗胸腺細胞グロブリン(anti-thymocyte globulin:ATG)+シクロスポリンA(cyclosporine A:CsA)による免疫抑制療法が確立されて以降,再生不良性貧血に対する治療戦略は長らく進展がなかった.しかし,2017年8月にトロンボポエチン(thrombopoietin:TPO)受容体作動薬のエルトロンボパグ(eltrombopag:EPAG)に再生不良性貧血の適応が追加され,同時にCsAが非重症例にも適応拡大されたことから,本邦においても,治療指針の見直しが行われた.EPAGは,造血幹細胞移植しか治療法がないと考えられてきた免疫抑制療法不応例に対しても,薬物療法のみによって輸血から離脱できる新たな選択肢をもたらした.さらに,初発例に対しては,従来の免疫抑制療法と併用することで,治療成績の向上が期待されている.一方,CsAの適応拡大は非重症例に対する外来治療の選択肢を増やしたことから,自己免疫疾患の特徴を有する再生不良性貧血においても,早期診断・早期治療の重要性が増している.

  • 土井 研人
    2019 年 108 巻 6 号 p. 1212-1218
    発行日: 2019/06/10
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は,急激な腎機能低下と組織の障害を呈する症候群であり,さまざまな臨床経過において合併すると予後を有意に悪化させる臓器障害である.早期にAKIを診断して適切なタイミングで治療的介入を行うことがAKIの予後改善には必要であるが,血清クレアチニン値及び尿量に基づくAKI診断と保存的治療がAKI診療の中心となっている現状がある.一方,診断においては,新規バイオマーカーが複数開発されて臨床応用に至っており,治療においても,数多くの基礎研究で得られた成果の一部が臨床の場で検証されつつある.AKIは可逆的な病態ではなく,長期的にはCKDの発症・進展のリスク因子であることも認識されるようになった.このように,AKI診療においては予後改善を得るために解決すべき課題があり,さらなる研究成果が期待されている.

シリーズ:一目瞭然!目で診る症例
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