日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
医学と医療の最前線
DICの診断基準と治療薬の知見
野村 昌作
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 102 巻 1 号 p. 153-159

詳細
抄録
播種性血管内凝固(DIC)は,全身の血管内において持続的に凝固線溶系が活性化される状態であり,多発微小血栓による臓器障害や出血症状をきたす症候群である.DICは従来の定義に加え,最近は,全身性炎症反応(SIRS)に関連する凝固障害を含めた広範な疾患概念へと変わりつつある.DICの治療を考える際には,凝固・線溶活性化のバランスを慎重に評価しながら治療する必要がある.リコンビナントトロンボモジュリン(rTM)療法は,トロンビン不活化作用,プロテインC活性化作用に加え,HMGB1の吸着・阻害による抗炎症作用を有するなど多面的なDIC治療薬と考えられる.またrTMは,造血幹細胞移植後の合併症のひとつである類洞閉塞症候群(VOD)に対する有効性も報告されている.このようにrTMの使用が可能になったことにより,DICに対する治療戦略が大きくかわりつつある.
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top