日本内科学会雑誌
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医学と医療の最前線
肺炎診療ガイドライン:日本における総括と今後への展望
今村 圭文河野 茂
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キーワード: 肺炎, 診療ガイドライン, EBM
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2015 年 104 巻 10 号 p. 2228-2236

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抄録

肺炎は死亡率,発症率ともに高い重要な疾患である.つまり,肺炎の診療には専門医だけでなく非専門医も携わる機会が多く,日本の肺炎診療の質を向上させるためには優れた肺炎診療ガイドラインが不可欠である.エビデンスがまだ十分ではなかった時代に初版の市中肺炎診療ガイドライン,院内肺炎診療ガイドラインが作成され,その後,よりエビデンスに裏づけられ,かつシンプルで実用性の高いガイドラインとしてそれぞれが改訂された.また,超高齢社会の日本では市中肺炎と院内肺炎のいずれにも分類しがたい中間的な肺炎症例も多く,医療・介護関連肺炎として新たに定義され,診療ガイドラインが作成された.今後は,便宜性も考慮し,これらのガイドラインを1つにまとめた肺炎統一診療ガイドラインの作成が進められている.EBM(evidence-based medicine)の重要な要素はエビデンスだけではない.医療者の経験・技量,患者の背景・意向・価値観も考え合わされたガイドラインが今後も作成されることが望まれる.

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© 2015 一般社団法人 日本内科学会
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