2016 年 105 巻 11 号 p. 2230-2236
78歳,女性.意識障害を主訴として搬送され,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)を呈し,急激な経過で全身状態の悪化,死亡に至った.マダニによる刺し口は認められなかったが,SFTSV(severe fever with thrombocytopenia syndrome virus)が検出され,重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)と診断した.本疾患はSFTSVによるダニ媒介性感染症で,2011年,中国で新たに発見され,日本国内では2013年以降,西日本を中心に症例報告がある.ウイルス関連血球貪食症候群(virus-associated hemophagocytic syndrome:VAHS)の原因の1つとしてSFTSを鑑別する必要がある.