2019 年 108 巻 12 号 p. 2547-2553
iPS(induced pluripotent stem)細胞技術が開発されて10年以上になるが,この技術を用いた医療応用は,再生医療及び病態解析・創薬研究に大別できる.実際にiPS細胞技術を用いて開発された再生医療(加齢黄斑変性症,心不全,血小板輸血不応症を合併した再生不良性貧血,Parkinson病ならびに脊髄損傷)や薬剤(進行性骨化性線維異形成症,Pendred症候群ならびに筋萎縮性側索硬化症)を用いた臨床試験が始まりつつあり,ますます注目されている.本稿では,中枢神経系の疾患を中心としたiPS細胞技術を用いた病態解析・創薬研究の進捗について概説する.