2024 年 113 巻 1 号 p. 16-23
世界では慢性ウイルス性肝炎に関連した死亡者数が毎年100万人以上にのぼり,世界的な公衆衛生上の問題となる.世界保健機関は,2030年までにウイルス性肝炎eliminationの戦略をたて,年間の死亡率を65%削減,新規感染を90%減少させることを目標とし活動を行っている.一方で慢性ウイルス性肝炎の主な原因ウイルスとなる,C型肝炎ウイルス(HCV),B型肝炎ウイルス(HBV)に対しては,革命的な薬剤の開発により排除または制御が可能となりつつある.本稿では,現在のウイルス性慢性肝炎に対する治療の進歩,残る問題点について概略する.