2007 年 96 巻 8 号 p. 1570-1579
薬物相互作用には,薬物の血液中濃度などの変化を伴う場合と,変化を伴わない場合に分けられる.前者の例としては,ビンクリスチンとイトラコナゾールによる末梢神経障害,チザニジンとフルボキサミンによる眠気,トリアゾラムとイトラコナゾールによる覚醒遅延,オランザピンと禁煙による錐体外路症状などがあげられる.また,後者の例としては,シプロフロキサシンとケトプロフェンによる中枢性けいれん,スルピリドとチアプリドなどによる薬剤性パーキンソニズム,トリアゾラムとアルコールによる記憶障害・意識障害・ふらつきなどを挙げることができる.本稿では,その中の幾つかの例を解説する.