日本内科学会雑誌
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膵内分泌の調節機構にかんする研究糖負荷における家兎膵島亜鉛およびβ顆粒の変動について
三浦 恭定
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1963 年 52 巻 7 号 p. 781-788

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抄録

インスリン分泌と膵島β細胞のdithizone可染姓亜鉛乃至β顆粒の増減との関係を追究する目的で, 家兎を用い,dithizone静注,透過光線測定法により糖負荷後の膵島亜鉛を測定し, Aldehyde-Fuchsin染色法によるβ類粒と比較した.まずWolffらによる大量糖負荷後の膵島亜鉛減少を追認したが,この際実験動物の消耗が甚しく,生理的条件下における糖負荷後の特異的変化と判断することは不適当と考え,グルコース体重kg当り1g静注を行ない, 4時間後膵島亜鉛が有意に減少し,その後回復することをみとめた.この際β顆粒もこれと並行した変動を示した.予め右迷走神経を切断した家兎ではグルコース1g/kg負荷4時間後の亜鉛減少がみとめられなかつた.以上の成績から,糖負荷後膵島亜鉛およびβ顆粒が減少し,右迷走神経がこれに関与することを結論した.これはさきの迷走神経刺激下の実験とともに,インスリン分泌と膵島亜鉛およびβ顆粒の変動が並行していることを示しているが,これらの細胞内におけるメカニズムについては尚検討を要する。

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