二,三心疾患における心筋遊離脂酸およびその構成別代謝にかんする研究
1968 年 57 巻 11 号 p. 1364-1374
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1968 年 57 巻 11 号 p. 1364-1374
ヒト心筋の遊離脂酸(FFA)代謝にかんする研究は少なく, FFA構成別についてはさらに少ない.したがつて著者は心疾患56例に冠静脈カテーテル法を実施し,安静時FFAおよびその構成別分析を行ない,心筋FFA摂取,心筋ガス代謝および心筋過剰乳酸との関係につき検討を加えた.その結果,弁膜症,冠硬化症および先天性心疾患において, FFAおよびその構成別はFFA動脈血濃度に応じて心筋に摂取されることを認めた.冠動静脈血構成別FFA較差についてみると,心筋はそのエネルギー源として,オレイン酸,パルミチン酸およびリノール酸を主として摂取していることを認めた.弁膜症において冠動静脈血FFA較差と冠動静脈血酸素較差との間に, FFAおよびその構成別について有意の正相関を認めた.また冠動静脈血FFA較差と心筋過剰乳酸との間に有意の正相関を認め,心筋FFA摂取の増加につれて,心筋糖質代謝は嫌気側に傾くことを認めた.
