日本内科学会雑誌
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実験的心筋硬塞症における超微細形態学的並びにcatecholamineにかんする組織化学的研究
吉野 正雄
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1972 年 61 巻 7 号 p. 780-790

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抄録

心筋硬塞の早期治療に対する病態生理的意義を明らかにするために,冠動脈結紮家兎を用いて,組織化学的蛍光染色法による心筋catecholamine分布の変化を観察すると共に,電子顕微鏡により超微細構造の変化を検索した.さらに心筋内catecholamineの動態と心筋硬塞作製後の存命時間,心筋超微細構造の変化などを指標として,二,三の薬物の効果を観察した.冠動脈結紮5時間後の家兎心筋において,心筋線維にそつて分布するcatecholamine蛍光は硬塞部,非硬塞部共に減少を示したが,血管外膜部における蛍光には大きな増減はみらりなかつた.硬塞部心筋の電子顕微鏡所見において,糸粒体変化は30分~1時間の間に著明に進行した.この間に心筋細胞が非可逆性に変容すると推定される.冠動脈結紮直後betamethasone 0.5mg/kg静注することにより平均存命時間の延長,心筋内catecholamine減少の抑制,糸粒体変化の軽減を認め,心筋硬塞のshockの救済にsteroidの有効性が推測された.

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