1987 年 76 巻 12 号 p. 1819-1824
うっ血性心不全におけるリンパ球β受容体数,親和性ならびにカテコールアミンに対する反応性につき検討した.心不全では重症度を増すにしたがって血漿norepinephrineは高値を示し,かつリンパ球β受容体数は減少を示した.両者の間に有意な負の相関を認め,重症心不全におけるβ受容体のdown-regulationが示された. β受容体を介して作用するdobutamine投与では心拍出量ならびに左室仕事量の変化量は軽・中等心不全群に比し重症群で小さかった.一方, β受容体をby-passして作用するdibutyryl cyclic AMP投与では重症度とかかわりなくほぼ同程度であり, β受容体のdesensitizationしている重症心不全に対する治療効果が期待できた.