日本内科学会雑誌
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サルコイドーシスの経過中に心電図で徐々に異常Q波の出現する過程を観察しえた1例
小濱 章夫李 龍植松崎 圭輔吉川 正洋坂谷 光則北谷 文彦
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1988 年 77 巻 12 号 p. 1852-1858

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抄録
症例は63才,男性.昭和57年に胸部異常陰影の精査目的で当院受診し,前斜角筋リンパ節生検等より肺サルコイドーシスと診断された.この時既に心電図で低電位と陰性T波を認めたが,その後徐々にR波減高が進行し,昭和61年4月には胸痛を伴わないで異常Q波が出現し,下壁梗塞に類似した.心エコーでは左室下後壁の菲薄化と壁運動低下,左室造影でも心尖部を中心とした下後壁のasynergyを認め,冠動脈造影では狭窄病変は認めなかった.左室心内膜心筋生検では線維化等の高度な病変を認めた.このように, R波が減高して遂には異常Q波が生じるというまれな心電図経過を観察しえた心サルコイドーシスの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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