日本内科学会雑誌
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腸炎ビブリオによる敗血症の1剖検例
林 繁和中村 常哉栗田 恭充加納 潤一吉井 才司
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1989 年 78 巻 7 号 p. 949-952

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抄録

患者は79才,男性,十二指腸潰瘍で胃切除,総胆管結石手術の既往あり,日本酒3合/日,昭和62年9月2日夕食にまぐろの刺身を食べ,午後8時頃,心窩部痛,頻回の下痢が出現した. 9月3日脈は触れず,血圧測定不能の状態で入院,大量補液,昇圧剤の投与にも拘らず,ショック状態改善されず,発症後約50時間で死亡,剖検を行った.血液培養で腸炎ビブリオが検出され,剖検にて小腸,大腸に出血,びらんを認めた.大腸は殊に変化が強く,粘膜は壊死に陥る部分もみられた.ビブリオ感染による敗血症はまれでVibrio vulnificusによるものが本邦で15例報告されているが,腸炎ビブリオによるものは自験例が3例目と極めてまれであり報告した.

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