1990 年 79 巻 12 号 p. 1729-1731
症例は38才男性.昭和63年8月2日夕方より頻回の嘔吐下痢が持続し,翌3日早朝にせん妄状態となり入院.便培養にてSalmonella typhimuriumを検出.リムルステストゲル化法陽性にてエンドトキシン血症と推定され,入院後ショック状態となり, disseminated intravascular coagulation (DIC),呼吸不全,肝腎不全を来したが,保存的療法にて救命治癒し得た.非チフス性サルモネラ症は,成人では胃腸炎型を呈することが多く,敗血症性ショックからDIC,多臓器不全へと進展する重症例はまれとされており報告した.