日本内科学会雑誌
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気管支喘息でのステロイド吸入療法
牧野 荘平
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1995 年 84 巻 12 号 p. 2085-2090

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抄録
気管支喘息は可逆性の気道閉塞と慢性炎症で特徴づけられる.その炎症は好酸球, T細胞,肥満細胞の浸潤により気道上皮の障害を示し,その程度は気道過敏の程度に比例する.喘息の治療は急性気道閉塞性発作にはβ刺激薬,テオフィリンなどの気管支拡張薬で対処するが,その原因である気道過敏性のコントロールは抗炎症薬が有効である.抗炎症薬の中ではステロイドが最も強力である.全身性の副作用を避けて気道炎症のコントロールを目的として吸入ステロイド薬が近年中等症以上の喘息の治療の主役となってきた.吸入ステロイド薬にはbeclomethasone dipropionate (BDP), fluticasone, budosenideの3種があるが現在本邦で使用できるのは初めのBDPである. BDP吸入は定量噴霧吸入器(metered-dose inhaler, MDI)によりエロゾルとして吸入する.一般的使用量では血漿コーチゾル低下などの全身的副作用は殆ど無い.主な副作用は咽頭痛,嗄声,咽頭口腔のカンジダ症などであるが,スペーサーの使用で軽減ないし防止でき,また,治療効果を増進できる.ピークフロー測定により気道閉塞をモニターしつつ使用量をコントロールすることが望ましい.
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