日本内科学会雑誌
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抗うつ薬による悪性症候群を発症し経過中に呼吸不全, DICを合併した1例
岡本 和彦梅野 守男高木 宏治永野 修司武田 誉久
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キーワード: 悪性症候群, 抗うつ薬
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1998 年 87 巻 4 号 p. 727-729

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抄録

症例は69歳の女性患者. 55歳よりうつ病と診断され,トリプタノール®(amitryptyline) 20mg/day,アモキサン®(amoxapine) 25~75mg/dayを内服していた.平成8年8月6日,起床時から意識障害,発熱,筋強直,頻拍,発汗が出現したため,当院に入院となった.入院時の血液検査では白血球増加, CPKの上昇を認め,抗うつ薬の服用歴と臨床症状および検査成績より悪性症候群を疑い,抗うつ薬投与を中止した.しかし,第2病日目より呼吸不全,血小板減少, FDP上昇を呈し, DICの併発を考えた.これらに対して,ソルメドロール®(methylprednisolone sodium succinate)とFOY®(gabexate mesilate)の投与を行い経過は良好であった.我々は,長期にわたり少量の抗うつ薬の内服中に,明らかな誘因もなく悪性症候群を発症し呼吸不全, DICを併発し救命しえた稀な症例を経験したので報告した.

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