1999 年 88 巻 5 号 p. 851-857
心原性脳塞栓症(CES)は脳梗塞全体の20~30%を占めるが,原因の過半数は非弁膜症性心房細動であり,大規模臨床試験により抗血栓療法の適応と効果が確立されつつある. CESの診断に経食道心エコーが普及し,新たな塞栓源が次々と明らかにされたが,中でも卵円孔開存は奇異性塞栓の原因として頻度が高く,原因不明の脳梗塞の最大の要因である。また,脳内に流入する微小塞栓の検出手段として経頭蓋ドプラーが注目され,鋭敏な凝固・線溶マーカーがCESの病態把握や治療モニターに用いられるようになった.